プロフィール ホーム

コラム
<< 朝日新聞 「私の視点」より >>

田中角栄元首相の「越山会」は、全国周知の後援会組織だった。 というよりも、ほかの国会議員の後援会が、知られていないと言うべきかもしれない。 なぜか? このことをきちんと論じておかなければ、今問われている政治家のありようが質せない。 鈴木宗男議員や加藤鉱一氏周辺の疑惑は、何回となく繰り返された政治家の汚点と同じ構図である。 ここで問題にしたいのは、それぞれの代議士を支援してきた有権者の態度である。

田中元首相の場合、ロッキード事件の起訴直後の選挙で、代議士生活最高の得票を得ている。 いま鈴木議員の後援者が雲散霧消の状態に近く、また加藤氏の議員辞職の理由に後援者の厳しい対応があったことと対比すると興味深い。 国会議員は、つねに「選挙民の負託に応えて」との常套句を連発する。 選挙民と後援会の上に立って、選挙区の政治主張の代弁者でなければならないことは言うまでもないが、 これが本当に実行されているのか。

また、普遍的利益にかなっでいるのか、政治的整合性が認められるのか。 この原則を失念したかのような2人の代議士を見て、ほかの国会議員は、 選挙民との関係にあらためて思いをいたすべきである。 いま、衆院新潟5区は田中真紀子さんの去就が耳目を集めている。 その結果によっては、郷土の行く末が心配される。 真紀子さんは「越山会」を踏襲しないと言っているが、私たちは父角栄氏の時代と同様、 今も変わらぬ熱烈な「田中信者」であるので、あえて政治家・田中真紀子の政治課題の視点から論じたい。

私は、すでに14年前に週刊誌の取材に答え「田中真紀子は日本のサッチャーになれる」と言って 「真紀子神話」に先鞭をつけたことがある。才気煥発で他を圧倒する精神力。 多くの国民が、この人に賭けた期待の大きさは当然だった。 最近、真紀子さんは周囲に「立法府の一人として政策にこだわりたい」と話している。 父角栄氏は、道路三法をはじめ、数多くの立法にかかわり、 政治的難題の解決に大きな役割を果した。 父の政治思想は、恵まれない所に光を当てることから始まっている。 私は父角栄氏が手がけた関越自動車道や上越新幹線の建設は、 恵まれた太平洋ベルト地帯に日本海沿岸が追いつくための実験的モデルととらえている。 角栄氏の出現以来、明治以降の格差は是正されつつある。 角栄氏は日本の南北問題の解決を政治使命としていたといえよう。 私たち越山会は角栄氏を「盟主」と呼んだ。心を共にしていたからである。 私は月刊「越山」の最終号に「越山会の道」と題して、田中政治の来し方行く末を論じ、 角栄氏の切り開いた地平は、後継者に委ねられてかぎりなく前進するよう提案した。

ただ、真紀子さんは、父と同じ道は歩まないと宣言して、公共事業重視路線を否定している。 しかし、地域の政治課題は必ずしもハードに限らない。 遅れた地域の教育や福祉、生活の中心であった農業のさまざまな問題など、 ソフトの対応で解決できることは数多くある。 また、有事法制関連や「住民基本台帳ネットワーク」など地方自治体とのかかわりは、 国会議員が主導しなければ成就しない。 あり余る能力で、地域に足跡を残すよう期待したい。 真紀子さんには「越山会」が切り開いた地方の時代の原点に立ち返り、 私たち旧「越山会」と一体の政治を目指してほしい。

平成14年7月12日 朝日新聞朝刊掲載

Back


さいとう後援会事務所
〒949-6623
新潟県南魚沼市六日町996-3
TEL:025-770-0398 FAX:025-770-0469
:office@takakage.net